癖/城之崎二手次郎
 
 足の親指のつめは独特のにおいがする。すみっこを指先で持ち上げて、その指をにおう。やみつきになる。だからつめが反っている。そこをかむのが好きだ。入浴時にしっかりと洗い、下着をはいたのち、足を口元に引き寄せる。まずはにおう。不思議だが、直接かぐとにおわない。そしてつめの先、やわらかくなった白い部分をかむ。心地よい歯ざわり。ついでに他のつめもかむ。おかげで八十を過ぎても体がやわらかい。

あとがき。
二〇〇字物語第五弾。
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