夏に見立てたいつかの終わり/水町綜助
埃がとれない
枠組の窓は青色のオレンジ
壁紙を伝って
薄目をあけてなぞると
手のひらに体温が付着した
温度何℃?
八月の休暇の名残
この部屋の床が風鳴りをたてながら沈めていく時
午後四時に
ありもしない風景の中で
見当違いをしたまま空を見上げる
木造の図書館
中庭の銀杏の葉が舞い上がる
白い空が白いんだ
と、見たままを繰り返して
千切れ飛んだ紙切れのような気持ちで見上げる
鼻が冷たくなって
教会っていうところに
行ったことがないな
遠くから十字架を見るばかりだ
ハレーションの中で
刻印のような十字だった
行ってみたいけれど
果たして、何をしに
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