「青い春」と呼ぶ/千月 話子
 
両の指を痛い位絡めて
錆びたフェンス越しに友を見ていた


立ち入り禁止区域
思い切り高く遠くへ放った
僕達の鞄
一瞥して走り行く
君の ズザザと力強い
足元の埃


駆け上がるフェンス上
危険な有刺鉄線をかわし
友よ 手の平に少しばかり
傷を付けただろうか


赤く腫れた頬
拳の傷
自分の痛みを知り
君にも深く分け与えた


放置された草むらで
飛び上がる虫を目の端で追いながら
君を 見失う


上空で低く飛行する旅客機
ジェット気流が
色の変わった草を揺らし
僕は 察知する


両の指を痛い位絡めて
錆び付いたフェンス越し
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