涼/コトリ
 
すきなひとの
はじめての恋人は
十も歳上の人だった
彼女には恋人がいた
それでも愛があったのだと、彼は言った


その
立ち入り難い
聖域のような空間から
彼を離そうとして
煙草はきらいだと言った
けれど
彼の自由を奪ってしまった


煙草を吸いはじめた
ピンクの煙草から
流れる煙は青くてきらいではなかった
けれど
身体がじわりと侵されていくのがわかった


彼女よりもわたしがすきかと
一万回以上問うて
一万回以上すきだといわれた
けれど
いつか彼女が迎えに来るのがこわかった


十も下の男の子はいなかった
ふたつ下の男と寝た
けれど
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