喃喃と/
信天翁
かげろうが乱れとびだすのです
ひび割れたトルソの脊柱から
刺客が襲いかかるのです
凍てついたタナトスの陰影から
それは半生のあいだ生かされているのに
何一つ身についたものとてないからです
寝付かれない 丑三つ時
セントレアから飛び発ったのでしょう
ミューズの遠雷を真似た航空便の爆音と
大通りからはツーリングの暴走音が
干乾びた脳神経を逆撫でするのです
にびいろのひとみを血走らせて
ヘドロいろの声紋を掻き乱して
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