「 文人になるという夢 」 /服部 剛
る。だから、今のまま現場のお年寄りの傍らにいる日々を数十年
積み重ねてゆくのも一つの道であろう。その一方で、今日の会議
が終わった後、僕は夜の大船駅近辺の賑やかな店が並ぶ道から、
明かりの消えた道に入る頃、「ある思い」が心に浮かんで来るの
を感じた。それは、もしかしたら僕が敬愛する、今は亡き文人が
若き日に留学の為、異国へと渡航する船中で、夜の海をみつめな
がら胸に湧いてきた決意と似ているものかもしれない。
( 私は、この手に握る一本のペンで、この人生を生きたい )
その胸の奥から湧いて来た思いが( 本当の声 )であるかどう
か、今の僕にはまだ
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