長居/蒼木りん
 
一つ一つ扉を開けると

いろんな風景が頭の中に見えた。

私の狭い世界で

見えない景色もあった。

見たくない景色もあった。

詩の中の幻は

夜には夜の姿容 昼間には昼間の姿容で

見えて

最近の出来事や その日の心理状態でも

変わることが解かった。

星の瞬きは半分正直。 

多数の靴跡のついた場所を開けると

掘ったさつまいもが居た。

みんながみんな 

嘗て 膝枕されていた。

「そうっか..」

解かった。

そんな気がした。


「うん..」

という映像が淡く消えかけた後


気がつくと、

何か足りない。

私はポイントを入れられず、

家に戻って

玄関の前に立つと

「こんばんは、ゲストさん」と書かれていた。


ちと、淋しかった。


カギを探して

また 性懲りも無く ポチッと

ドアを開けてみた。

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