地層/南 広一
群生する草木の
やがてはその根の深いところへ
むさぼって、むさぼって、
貪り尽くして やがて
ひとすじの地層となって閉じていく
のが わたしたち。
一匹の蜘蛛の
ぎんいろの糸を端から切り落として
──切断して
抹殺してしまいたいという欲
その手を食ってやろうと
狂ったように巣を揺らしていた蜘蛛の
貪欲さとか 何もかもが
ひっきりなしに降り積もっていく
というありかたである
容赦なくあびせられた熱気が
山の稜線にそって次第に衰えていく
熱心、熱意、熱狂、と
病のように折り重なっていく層もあった
朽ち果てた
棒のように忘れたいと思う
戻る 編 削 Point(2)