3%/亜樹
 

0がいくつも連なった数が
その値段を示すパネルに表示された

ニセモノでないそれは
おそらく私の手元には訪れまい
複製品でいいから欲しい、
と呟くと
妹は
理解できないものを見る目で私を見る
若い彼女にとって
本物こそが
価値のあるものなのだろう

けれど
私が欲しいと思うのは
その柔らかな色合いだけだったから
安っぽいカラーコピーの
劣化品でも
構わなかったのだ


本物、というものの価値がわからない
それは
おそらく他人が決めるのだ
だと思うのに
美味しいと思うもの
美しいと思うもの
欲しいと思うもの
年をおうごとに
境界線が曖昧になる
わかりもしない
3%のチーズに惹かれるように
誰かの声に
手を引かれ
選んだそれは
本当に私が欲しいと思ったものなのだろうか
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