春を想う/桜井小春
 
心臓を
 
氷の中に
 
忘れてきてしまったんだ。
 
君の体温が届かない場所
 
だから
 
いつまで経っても
 
上手く
 
笑えなくて。
 
 
 
春を待つには
 
遠すぎる。
 
君を待つには
 
弱すぎる。
 
 
 
微弱になっていく鼓動を
 
一体誰が
 
愛してくれるというのだろう。
 
 
 
泣かないで。
 
君のせいではないんだ。
 
でもせめて
 
ただの一度だけでも
 
抱きしめて
 
ほしかった、なぁ。
 
 
 
目を閉じよう。
 
鼓動が止まる前に。
 

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