10:35pmの後で/
 

午後十時の到来を待って鍵盤を押す

文字を綴る鍵盤
音を綴る鍵盤

そのどちらをも乱暴にたたくのは
酒に汚れたこの指だ

、。を省き、
脳髄反射だけで鍵盤を押す

でたらめな打鍵が促すものは
ただただ空虚な高揚と
高揚の最中に覚え続けている
そんな高揚はまやかし以下の効用すらもない
ただそれだけの自覚だ。

。をひとつ打つと、
次第に、が羅列されるようになる。

それは酔いが冷めてきた証拠。
絶望と空虚と残酷な自覚が到来する、
午後十時半の幕開けの証拠だ。

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