秋の水/まどろむ海月
{引用=
水の中を
月が通り過ぎていく
旅人は何処へ行くの
水の中を
夜が通り過ぎていく
旅人は何処へ行くの
水の底を
風が歩んでいる
水の底を
よろこびのかなしみのあこがれの
森が燃え上がり
浮かんだ夕闇の破片は流れている
その旅人は何処へ行くの
雲は溶けていく
もどらない光があり
とりのこされた灰は
灯し火のはばたきを追憶して
変容していく
みなもを
ねえ その旅人は何処へ行くの
はじける水のまわりを
影とかがやきが舞い
愛しさはよみがえるが
恋は死んでいる
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