旅の思い出に/いねむり猫
小さな旅をした
友人の見舞いに
体の力が入らない休日の午後の旅
特別快速で2時間
刈り取られた田畑が続くぼんやりとした旅程
痩せた友人が微笑んだ
もう大丈夫だと
目の奥に熱が見えた
細くなった自分の腕をさするしぐさに怯えた
今日は子供達も見舞いに来ていたんだと
話す事はたくさんあったけれど 帰ることにした
病院の玄関までふらふらしながら見送ってくれた
またしばらく会えないね
ああ また来るよ
友人の病も小さな旅のように
無事に帰宅できるはずだ
めったに思い出すこともない 小さな旅の思い出に
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