ふるまち(檸檬)/朗らか
 


空白を見つけては檸檬の汁を垂らして遊んだ

うだるよな暑さと陽射しに匂いと香りが溶け込んでいく

浮かび上がる無数の回答には目もくれないでいて僕等

手のひらをお互いに舐め合って沢山の文字を交換する

夏の肌へ髪の毛へ瞳へ器官の奥へ染む

鮮明な柑橘系へと滲んでいったこの町

そして駆け足の僕らに、今日も呆けた老人が手を合わせる






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