マレーグマ、金属/まりょ
君は柳だと思っていた
しなやかに曲がったり伸びたりしていたから
本当はやわらかな金属だった君は
ある寒い朝にほろりと折れた
ぼくは煙草の灰を落とすのも忘れてその断面を、
じっと見ているしかなかった
眼球がすっかり乾いてしまうまで
それからぼくは毎朝きみのねじを巻く
それはうなじのあたりにあって
髪をそっと持ち上げるとあらわれた
自分でやると勢いよく、限界まで巻いてしまうから
といってうつむいてこちらを見ないまま
すこしだけ笑ったような声
笑わないで
笑わないでよ
空洞のようでこわいから
肋骨のすぐ裏側や後頭部の少し下のあたり
なにもないだけのやさしさ
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