HOTEL/まりょ
 
 
心臓を取り出して
はい、って渡せたらよかった
一番近付いた瞬間に
惜しげなく

薄暗い部屋
間接照明で
輪郭はまどろんでいる
意味の無い言葉や
意味の無い温度で
外側は溢れている

やさしさなんかじゃなく
でもこれ以上ないやさしさで
擦り合わせる皮膚
どうやったって
混ざり合わないという
確認作業
丁寧に進めていく

大切な吐息と
重要な温度は
やがてどんどんと近付く
間の空気は濃密さを増して
息をするのももどかしい
他のものを取り入れる余裕は
一ミリもなくていい

けれど知っている
そこから
それ以上は
離れていくばかり


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