腐った魚の眼に映るのは、脚のないイタリア人のカウパー/
 
いる


彼を
ひょいと摘まみ上げると
残り少ないオイルをフライパンに滑らせ、投入する
身を縮めてコロコロと
軽く塩胡椒、いい香りで炒られる姿
フォークの先
舐めれば
ジェンティーレ、
優しい味がするね。
そのまま、ひといきに突き刺すと
溢れる肉汁は雨
ひっきりなしに響く銃声を
包み込み隠してしまう


髪の
毛の先に滴を垂らしながら
ジェンティーレ、ジェンティーレ、優しい味がするね。






空の誰のものでもない美しさに、夜の帷
ヴェニスの水道に浮かぶ、月は砕かれた殻
お皿に残された、それを眺めて
腐った魚の眼に映るのは、脚のないイタリア人のカウパー


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