おとこ。/哀詩
 
 
わたしにとって、男はあなたひとりです
あなたこそが人間、そして異性の完成型であり
わたしは未熟児 知らないあなたを
魅了するだけの技量があるだけ
(それだけなのでときたま虚しくなるのだとか)

しかしそれさえあなたには適わない、
わたしがあなたを魅了するその一瞬は
わたしの世界、幸福、すべてを取り巻く
ばかみたいに大きな渦となっていって、
(わたしは台風の目でぽつん、とひとり)

あなたが去るとわたしはこっそり
あなたの虚像をつくりあげて、わたしの世界(を、)
作ろうとしては失敗するので、
(甚だ遺憾であるそれは如何にこの事態を収拾、修復するかに基づき)、
あなたが残した香に、(まくらに、布団に、)くるまって
ひとりですすりなく、水分、水酸化ナトリウム

ねぇ、わたしのおとこはあなただけ
(一緒にあいを作ったあなたは、知っているんでしょう?)
 
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