きでできた どうぶつ/南 広一
ピンクの象と黄色のキリン その横で
下の青いにんげんがお父さん
真ん中の赤いにんげんがお母さん
いちばん上の黄色いにんげんが尚ちゃんです
そんなふうに
わたしたち家族が積み上がっている
6畳の明るい子供部屋で
オレンジの河馬も白い羊も
草原のようなカーペットのうえ
みんな自在に生まれては死んでゆくそうで
青い毛をした猫は決まり事のように
緑色をしたヘビの上に積まれている
赤いライオンはきのう
悪さをしたので燃えています
消防車がやってきて
ライオンの炎を消し止めている
ダンプカーに乗せられ
黒白斑の牛が引き取られてゆく
行き先は本棚の隙間になるという
覗いてみるとすでに
灰色の猿が仰向けになっていた
黒い馬がクレーン車にまたがって
西の空をうかがっている
もうすぐ嵐が来るんですよ
やがて
ちいさな人の手のひらが嵐となり
象やキリンや河馬が崩れ
木でできたわたしたち家族も
当たり前のように
がらがらと崩れ落ちていった
戻る 編 削 Point(0)