相棒/木屋 亞万
 
泣くな屍
乾き始めたその目の変わりに
俺が大きな涙を流してやる

お前は遺体
もう人ではない
身体の機能に欠陥などなくとも
脳に損傷などなくとも
動かす何かが抜け落ちた

冷たくなるな
血が引いてしまっても
心臓に赤い薔薇が咲いた
顔は枯れ始めた白い牡丹
花に囲まれて

目頭に熱く血は走り
陽炎の火柱が泉を沸騰させ
薬缶から吹き出す湯のように
少し端から零れ出てきた

煙突から雲に消えていく
しばらくの記憶が消えて
死ぬ少し前の状態で
お前はずっと生きている

お前の変わりに
これから少し声を上げて泣いてやる
身体を亡くしたお前が
俺の中で叫ぶ産声だと思ってくれ




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