路上を這う/結城 森士
およそ人の来ない舗道に倒れてから、ずっと静寂に身を預けていた。手や足は動き方を忘れてしまったようだ。
このまま寝てしまおう。駅まで20分。終電にはもう間に合わない。歩く気力も無い。
音楽は流れては来なかった。時折、ずっと遠くのほうでヘッドランプが流れていった。
携帯で言葉を発すれば、笑うことしか出来なかった。そして泣いた。
全身が震えて口をうまく動かすことすら出来ず、手は冷たく固まってしまった。
長い時を精一杯足掻いて、どうにかここまでやって来たというのに。
夜、それは一切と関係なく流れていった。
舗道の乾いた硬質感だけが唯一心地良かった。他に残されたものは暗闇しかなく。
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