一夜恋唄/
哀詩
(彼を舐めれば桃の味がすると知っていた。)
愛の言葉を軽く口にするあなたの耳障りな断片を
くちびるで閉ざした
気だるい夕立の中
ぼやけた視界の中心核となった
あなたの背中が牙を剥いた
「 」と手をかけ、撫でかけた
その感触は
(人肌というよりヘビ柄の薄汚い、)
杞憂が何にもならないことを
何故だかこの頭は理解していて
にごった朝霧の中、ひとりね
(足音を立てずに部屋を出て行こう。)
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