彼女はいつも優しげに微笑んでいた/亜樹
 
彼女はいつも
優しげに微笑んでいて
私はその向かいで
罪人のように俯いていた

明るい彼女を
羨みこそすれ
憧れはしなかったのは
私の感じる
辛さや悲しさを
なんでもないことのように
踏みつけられる鈍感さを
その明るさに感じたからなのか
それを恨んでいたからか

ああそれとも
「笑う」ことの原型は
獣の威嚇だと
何かの拍子に聞いたことがあったから
ライオンの前の兎のように
私は怯えていたのだろうか

彼女のような人は
以外に多い
今私の隣にいる人のように
彼女もきっと
今でも優しげに微笑んでいる
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