氷の音/小川 葉
 
積み重ねた
尾根の斜面を
流れ落ちる記憶の
管が開いては閉じる

ガラスにぶつかる
氷の音が
今は聞こえない
牛が食べたのだ

好きに呼んでもいい
動物を眺めながら
牧場で母と話す
水を飲む

カラン

もう一人
そこにいたのだ

カラン

氷の音がして
記憶の管がまた
閉じる
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