北陸の秋/megie
コスモスのピンクが、夕陽までも染めている
川端を飾るのは、彼岸花の火花の群れ
それらは秋風にしなやかに身を任せ
冬を迎える憂鬱を柔らかに受け止めてから
羊雲へと放ってくれる。
日を追う毎に冷たくなる朝の手水
増してゆく寒気が開け放った窓を閉ざし
重ねる衣は一枚ずつ厚くなってゆく
・・北陸の秋は、その夏以上に短い。
それでも食卓には
栗ごはん、秋刀魚、松茸、柿そして梨が並び
過ぎゆく秋を祝うように食した。
深まる秋への変遷は
過酷な冬へと徐々に心身を馴染ませ
人たちも街も今は
その訪れを静かに待っている。
そんな覚悟と準備を見届けた頃
いつしかコスモスは瞳を閉じ
彼岸花も川面に紅を落としてゆくのでしょう 。
いつもと同じように。
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