忘れられた言葉/美砂
 


ノート

忘れられた言葉

終わりもみつけられずに

さまよったまま

静かに痛んでゆく紙のうえで

呼吸をつづけている

あのひとの、
いつかひらめいた
あのひとの喜びに
あのひとの
興奮と叫びに
あのひとの
あのひとだけの
たましいに

あのひとに

唯一のつづきが

うまれる日を

待って




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