大通りに、投げる/水町綜助
にはあぶらあげの匂いしかしない
人がこんなにいて
そんな匂いしかしなくて
人だらけで
でも見回しても
詩的とか
詩情とか
そんなもんどこにもないし
どうしてもと言うんなら座席の裏ひっぺがしたっていいよ
ないよ
意味もそんなもの
現象として空想上だから
はなからいまさらだ
だけどやるのは
まだ足りてないからだ
たぶんね
何がかはしらんけどね
ああ
欠伸みたいなもんだたぶん
泣くことより先に
温かい水の中でする
あくび
・・・まあ知らんけど
*
陽射し
陽射し
陽射し
陽射し
太陽の!
あかり!
このたちこめる
雲天を裂け
雨粒を、
幾千の、
世界に、
降り止まない、
霧雨を、
おれたちの靴さきが
濡らされる前に
灼き消せ
一条光の帯を
広げて
至る所に降りつもる
すべての悲しさを
烈しく照らして
灼き消せ
そしておれを
一瞬の幸福のうちに
焼き殺してください
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