大通りに、投げる/水町綜助
 
どんな町にお囃子(はやし)が鳴り響いて
どんな町で葬列が連なってんのさ
僕は家へ帰る
青と黄色と黄緑のガラス窓が
なにかしらハンマーで叩き割られて
キリキリ、と
破片が落ちてゆく床には金色の陽溜まりだ
やたらゆっくりと輝く
夏が
終わったんだね

「ああ。
 いちまつの
 不安を残して
 行った
 いってしまった」

 *

夏、あの、いちめんの水田に
青々とした稲がびっしりと育って
風に撫ですかされていた夏
そのさなかを
恐るべきはやさで僕を滑らせた赤鉄の電車よ
世界を
この僕のそれを
よくも一本の線にしてくれたね
いっそ持ち去れ

[次のページ]
戻る   Point(15)