白い壁沿いを歩く日/水町綜助
 
 街に日が射して
 コンクリートの
 続く壁面が白く発光しているのを
 たよりにつたって
 あるいて
 その擦り傷のようなざらつきの
 わずかな影のさき
 壁の尽きるところの
 晴れやかな
 晴れやかな終局か何かに
 顔を綻ばせている

 少し猫背で
 ポケットに親指を隠して
 瞼はすこし伏せて
 透明な陰影に浮き彫られて
 あきらかになるくらいには
 わらって

 僕が、歩いているような
 街が、通り過ぎているような
 錯覚が、街路樹の鮮やかな緑色として
 輝きに、傷を付けられながら
 僕を、
 だますように
 仄かにかすんでは
 切れていく 
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