『小夜曲』/東雲 李葉
ちていく、それは、
先刻まで君が零した涙にも似て。
指に掬った流星は空を映して輝いた。
それはこんな小さな月が見下ろす夜に、
父の大きな背中のうえで風の歌が聞こえたように。
何の兆しも見せないままに突如生まれた物語。
光はまた音も無く闇から生まれ出て、
瞬く間に僕らの未来へ駆けてゆく。
星は何時でも二人を見つめ、
僕らはそれを掴もうと小さな小さな手を伸ばす。
それは幼い身体が震える夜に、
光を忘れた世界から突如生まれた物語。
希望の胎児は瞼を開き二人の行方を見守っている。
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