『小夜曲』/東雲 李葉
 
真っ黒くて大きな影。
じっとこっちを見ている。
零れる涙。
君の瞳が濡れていく。
広いくさはらの真ん中で、
幼い影は二人ぼっち。
木々が擦れるざわめきが、
獣の呻き声に聞こえてきて、
震える手を握り締めた。
僕の指も震えていた。
姿無き声は荒波のように、
静けさの後で叫びとなって襲ってくる。
為す術もなく小さな身体は、
隙間も作らず寄り添って互いを糧とするしかない。

そんな僕らの頭上から、
幾万もの流星が。
夢のように美しく、
幻よりも確かな光で、
瞬きながら降り注いだ。
不死鳥みたいな長い尾を引き、
生きてるように微笑み見せて。
地球の肌を流れ落ちて
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