駅/路守 緒世留
 
その駅は
人がぷつりと途絶えることも無く
名前も割と知られていたが
急行の止まらない駅だった

ああ電車だと頬に風が吹いてきても
何喰わぬ顔で通り過ぎて行ってしまう
次の駅まで私を連れて行ってくれない
ほんの少しだけの疎外感

この駅に急行が止まれば良いのにと
友達とぼやき合った事が何度かあった

時が経って
私は急行の止まる駅の傍へ引っ越した
電車はまだあの駅に目もくれず走る
あなた達はまだ次の駅へ行けないのね
ほんの少しだけ 優越感

あの駅に急行が止まれば良いのにと
私は思わなくなっていた

そんな私を
少しだけ嫌な奴だと思うこと
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