朝の蝶/
亜樹
夜明けの空の色は
遠い昔に
見た標本の
大きな蝶の羽の色
赤い蝶はいないの?と
無邪気に聞いた幼子に
私は多分
嘘をついた
白々と明ける夜に
いつかの朝へ
蝶の群れは帰っていく
眠たい目をこする
私など見向きもしないまま
残された燐粉が
朝日に照らされ
微かに光った
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