移る/
松本 涼
移る
ということは
時に哀しい
確かにあると
信じたものが
まるで儚い霞になるようで
移る
ということは
時に嬉しい
身動きがとれないほど
縛られたものから
ふいに解き放たれるようで
けれど
移るものと
移らないものは
いつだって
お互いを内包しながら
息づいている
移ること
移らないこと
それはどちらも
今
という
生きた鼓動なのだ
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