鋭角な旅路の先端/灯兎
兎だった頃に住んでいた 詩の檻を残らず焼き尽くして
密度の無い灰と残響で鳴く骸を抱えて 地平を見据える
先にぼやけて見えるのは 何だっけか 名詞も忘れてしまったようだ
カフェラテを飲みながら考えるのは この液体とよく似た自分のこと
自分が嫌いで 時々好きで それでも嫌いで 道を見返せない
明確に南北を指し示す磁針ほどには 自信を持てないから
死にたい死にたい死にたい 生きたい 朝目覚めたらひっそり消えたい
そんな矛盾しない衝動を抱えて せめてきれいな装飾を繕おうとする
崩れた泪化粧に 愚かな追憶は流れて ぼやけた嬌笑を零す
もっと上手いこと仮面を纏えたなら 世界
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