必敗の歴史/狩心
 
殆どの人間が
近視か遠視だ
もしくは目がない
目が飛び出して
破裂しそうな奴もいる
無論、私もその一員である

私達と世界の間には
電子機器の画面や書物
カメラのファインダーがある
それを通して見るばかりで
肉眼は滅多に使われない

自分の精神状態と
何を通して見たかで
現実が規定される
個人と個人ですれ違う現実
そこに巣食った個人主義が
青い空を透明にして
町も人もモノクロームにする

ゲームのようにプログラム化された社会
文字と数字の配列が支配している
映像や音声も記号化されて
ボタン一つで再生される
人々の人生も
用意された選択肢の中で

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