13時のお茶会/亜樹
 
真夜中に13回時計の鐘が鳴った
私はアリス
追いかけるべき白兎がいないので
仕方なく一人でお茶を飲む
すると呼んでもいないのに
引き出物のティーカップが顔を出し
喉が渇いた、と喚く
何を生意気な
乾いているのは私の方だ
イラつきながらも仕方なく
赤いお茶を注いでやる
ティーカップは喜んで
かちゃかちゃと音を立てた
真夜中に13回時計の鐘が鳴った
だというのに
不思議の国への道は開かない
本棚の裏には埃が詰まったまま
赤いお茶はいくら飲んでも
私の渇きを癒さない
どこかかさついた気分のまま
いっそ失踪してしまいたいと思う
けれど道案内の白兎がいない
臆病な私は
仕方なく一人でお茶を飲む
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