光沢の味/水町綜助
 
日の当たる柵の上に座っている
町に何匹ものこがねむしは
踏み潰れて
鉄の車輪の
切りつける音は輪を描いている
灰とか
羽を
風が吹いたらめくり上げて
ひとつ眠って
目を覚ます頃には
雨が乾くように消え去っている
残暑に雪を思う
残暑に音もなく消える
路面は黒く
黒くそしてすこし濡れて
乾いていく呼吸を
繰り返して
生きていると欠片を飲み込んで
金属の光沢に似た
緑色の羽の苦さが
人いきれの中に
気紛れに
和え込まれていけば
朝が来るように
みずからをわすれる


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