ふるえ/亜樹
 
声というのは
ふるえです
静かな水面に
小石を一つ
落としたような

円く広がる
その道のりで
小さくか細く
なりはしても
どこまでもどこまでも
同心円状に続いていく
とてもタチの悪いふるえです

ですから
君から
遠く離れたこの場所で
密かにつぶやく
一言が
そのうちに君に
届くやもしれないと
思うとひどく
おそろしく
今日も口をつぐむのです

戻る   Point(2)