ひそひそ話と子供/美砂
 

胸いっぱいの誉れのためにも
きこえないふりを
しなくてはならないが
よけいきこえてくるので
いたたまれなくなる

逃げ出しなんかしない
涙もださない
汗すらださない
靴底を地に押しつけて
灼熱のグラウンドで
熱風を胸底まで吸う

(かたくなって)
(かたまって)
(ひからびろ)
(ひからびろ)
(ぜんぶはがれおちるまで)

だけどなんて
なんて
心は
じゅくじゅく
しているんだろう

かわいても
かわいても
ひからびても
ひからびても

そこだけは
どうしようもなく



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