海を見ている十七歳/水町綜助
排気音が高く
高く空へ昇って
陸橋を走るぼくは
町並みに連なり
息づかいみたいに
浮かされて
白くあからさまな
積乱雲を
水平して
開けていくにつれ
早く
流れ
飛んで
千切れていくように
千切れて
空の端をつかんで
破り捨てていけば
面影を思い出す
ぼくは
何だったかな
速度が増していくうちに
なんでもなかった
水滴が浮かんでいくなら
ごめん
流れていくだろうし
きっとそんなもんだ
こぼれた後にどうなるかなんていうのは
たいして変わる訳じゃない
ひとつ
言ってみたく
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