空は飛べぬが/プル式
過去の様々を思い出してしまったらどうにも恥ずかしくなって
穴があったら入りたいと思うのだが見渡す限り穴が無い
仕方が無いので僕は自動販売機の取り出し口を開け
蒲団に潜り込むようにその中に潜り込んだ
足元は多少ひんやりするが全体的にはポカポカとして心地よい
どうやら僕の住むべき家は自動販売機だった様である
それからと言うもの何処に行くにも僕はそれを背負いながら
まるでヤドカリのごとくちまちまと歩いては人を見つける度
自動販売機のフリをして人生をやり過ごしている
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