狂った日曜日(1000文字小説)/宮市菜央
 
かをたしかめて、手早く料理に取りかかる。今日はじゃが芋のポタージュにチキンの香草焼き。ハーブには私だけの秘密の隠し味がある。彼はいつもその正体を訊き出そうとするけれど、私は絶対に答えてあげない。「いつか一緒になったらね」そのたびに私はそう言って、彼の終わりのない問いかけをかわす。

 やがてすべてが整う。ドライジンとライムをシンクに置く。朝とは違う場所のように、がらりと変わった私の部屋。あとは彼がベルを鳴らすのを待つだけだ。

 約束の、いつもの時間。彼はまだ来ない。十分、二十分、三十分。壁時計の針が進んでいく。


 狂った私の時計が時を刻んでいく。約束の時間が過ぎていく。本当は知っている。あのひともこのひとも、もう二度と私の元には戻ってこないのに。


 狂った日曜日。

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