狂った日曜日(1000文字小説)/宮市菜央
私は買っておいたワインのコルクにオープナーを突き立て、ゆっくりと栓を抜いた。テーブルにボトルを置く。向かい合わせにグラスを並べる。窓からこぼれる遅い朝の陽射しを透かして、赤いワインが明るく輝く。
今日は日曜日。あのひとがやってくる日。
テーブルクロスを掛け忘れたことに気付いて、あわてて棚から引っ張り出す。あのひとがほめてくれた、淡いグリーンのクロス。その色はとても淡くて、陽射しのまぶしい夏の昼には白く見える。
食事の支度に取りかかる。彼は手料理が嫌いだから、すべて買ってきたもの。カマンベールチーズ、クラッカー、スモークサーモン、お気に入りの店のキッシュ、ハバネロのスナック
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