書店員の一日/吉田ぐんじょう
 
はいつものように
ひよこを掌でいつくしみ
優しく庭へ放してやる

ひよこは命そのもののような顔をして
ひよひよ柔らかく歩いてゆく

その後どうなるのかは知らない

最近飼い猫が太ってきたが
そういう都合の悪いことは
見て見ぬ振りをすることにしている


着替えをするのは至難の業だ
わたしは日によって
膨れたり萎んだりするので
ぴったり合う服を見つけるのが
なかなかに難しい

昨日履いたジーンズが
今日はもう緩すぎる
わたしは押し入れの天袋から
小学生のときの服をひっぱり出し
次々試着を繰り返す

結局ぴっ
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