幸福の置き場所/西尾
 
幸福の置き場所は
海のにおいのするところ
大事な言葉が生まれたところ

風がとおりすぎて
小さな駅におりると
細い道の向こうがわ
手に持った荷物の
不安定な重さが
私であることの証

閉じられた胸の窓をあけて
見なれた街を飛びだしてゆく
いくつかの思いを捨てて
闇の向こうがわを見る
痛みをこらえても
新しい空気を吸い込むために
歩き続けたい

古い電車を降りたら
夢で見た風景がある
風の向こうの明日と
立ちどまりそうな私と
そのわずかな隙間にある
幸福の置き場所


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