細胞/
小川 葉
さみしい犬が
鳴いている
夜が忘れられて
やかんが沸く
鯨は吠える
イヌイットの
ソリに引かれて
作られては
壊される
道が未知となり
わかっている
朝帰りの太陽が
氷を溶かして
流行性のウィルスが
目を覚まし
誰かの細胞を利用して
わたしが増殖する
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