淡き明日に月が昇りて/プル式
 
パサリと乾いた音がした



遠くに何かが有るのだろうが
僕にはそれが何なのかは見えない
夜中の公園のような気もするし
昼間のようなな気もする
それは随分と昔に見たような
初めて見るような



パサリ



知っている顔が僕を見ている
誰だっけと思い出すけど
どうしても思い出せない
どこかで会ったのだろう
彼女だった気もするし
もしかしたら幼なじみかも知れない



パサリ



夜の電車に乗っている
顔の向こうに何かが写っているが
明かりのせいだろうか
それが何なのかは判らない
ただ少しきらきらと
無数に小さな光が飛んでいた
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