パラドックス/榊 慧
 
、壊したくなる。


そう思う自分こそが、壊れているのだろう。

強く、誰よりも強くありたい。
けれど時折、上を見上げる。
僕を狙って振り落ちる、花を見上げるのだ。
手を伸ばし、手折ろうとして、手を下ろす。

時々、何故か、

たまらなく、

たまらなく、

泣きたく、なる。

泣きたくなるんだ。
涙なんて出ないのにも関わらず。




認められなくて、それでも捨てきれない自分の戒めとして。


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