鎌倉/ピクルス
教えてしまう
薬を飲む度に
大切な名前を呼ばれた気がします
同じ話は同じ返事と寄り添っては
さほど残念そうでもなく、すれ違ってゆく
命乞いする顔色の男が咳払い、ひとつ、ふたつ
林檎を剥くのが巧い、知らない男だ
冷たい枕の下に眠れない瓜を冷やす
夜具に問いかけては
心臓のところ、指を伸ばしたその先に乳房は無い
もう違うんだよ
まだ違うんだよ
あの花を取って
と、せがんだ鎌倉には
白い夏帽子がよく似合いました
どなたか存じませんが
いつもありがとうございます
戻る 編 削 Point(8)